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仕事紹介~Episode~

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限られた時間の中で、よりクオリティの高いものを。作家さんと二人三脚でこだわり抜いた作品は、一つ一つが宝物です。 コミック編集部(Gファンタジー編集部) 石川 裕香 作家(マンガ家)と二人三脚で企画を練り、マンガという形にしていく職種。企画以外にも進行管理、情報収集、アシスタントや作画資料の手配、取材など、作品制作におけるあらゆる業務をこなす。また印刷所や出版取次(流通業者)との折衝など、本として完成して流通するまでの工程にも携わる。

スクウェア・エニックスに入社する前は何をしていましたか?

もともとマンガや雑誌といった紙媒体が大好きで、大学を卒業してからは書店で働いていました。もちろん、学生時代にいわゆる就職活動はしたものの、出版業界は狭き門ですよね(笑)。とはいえ書店で本を売る仕事もやりがいがあって楽しかったのですが、それでも作る側に回ってみたいな、とは漠然とですが常に考えていました。

入社のきっかけは?

書店で働いていた時に、昔読んだ大好きなマンガの完全版が出て、もう一度読み返してみたんです。そしたら、なんだかこのままではいけないような気がして、もう一度作る側に回る努力をしてみよう、と思うようになりました。つまり、きっかけはやっぱりマンガなんですね。

それで、とにかく応募してみようと思って探して最初に受けたのがスクウェア・エニックス(当時はエニックス)だったんです。実を言うと当時興味があったのは、少女誌だったのですが、「やる気重視」だった少年誌のガンガンを希望しました。面接の時も、少年誌の面接にもかかわらず「ゆくゆくは少女マンガが作りたいです!」と堂々と言ったりして、今考えると自分には本当にやる気しかなかったなと思います(笑)。

入社してからの仕事と挑戦

そんなわけで、入社当初はホントにただの「マンガ好き」だったわけですが、編集アシスタントとして入社しましたので、入社してから半年ぐらいは、先輩編集者が担当している作品の入稿作業のお手伝いや、原稿の受け取り、それから雑誌の記事ページなどを担当させてもらいました。自分で記事を書いていたので、外部に取材を申し込んだり、街ゆく人々や有名人にインタビューしたりということも多く、ある意味、今よりも勇気と度胸のいる仕事が多かったように思います。

半年ぐらいたった頃から、マンガ作りに関わることを許されて、勉強のために先輩編集者の打ち合わせに同行させてもらえるようになったのですが、壁はすぐに見えてしまいました(笑)。なぜなら、自分が思っていたよりも、編集者がマンガ製作に深く関わっているということをはじめて目の当たりにしたからです。たとえば「ここのコマはもうちょっと濃いトーンを足して重苦しい雰囲気に…」だとか「ここのコマはもうちょっと大きくとって見せ場にした方がいい」だとか、ストーリーの設定・流れなど大きな部分はもちろんのこと、そんな細かいことまでも打ち合わせて決めていっていることに衝撃を受けました。入社する前は、いや入社してからもそんなことを意識してマンガを読んだことなどなかったので「こ…これは大変な仕事を選んでしまったのかもしれない…」という思いでいっぱいでしたし、自分がただの「マンガ好き」であるということを改めて思い知らされました。

それからは、すべてのものの見方が変わりました。マンガや小説、テレビや映画を見て「おもしろかった」「おもしろくなかった」と感じたときに、ではなぜそう感じたのか?どうすればもっとおもしろく感じられたのか?と自分なりに解釈してみたり、一見意味のないこのシーン、このカットにはどんな意味が込められていたのかとかを考えながら見るようになったり、新しい体験をして「楽しい」「かっこいい」と感じたときは、作家さんと一緒にその体験をして、作品にしてみたりと、とにかく試行錯誤の連続でした。

そうこうしているうちに、何本か「あ、これだ!」という作品もできたのですが(笑)、その作品をいかに「売れる」ものにしていくか、世に広めるか、も編集の仕事です。たとえば、店頭に並ぶ際のパッケージなんかもそのひとつ。ほかにもたくさんやることはあるのですが、詳しくは企業秘密で言えません(笑)、個人的にはそれを考えるのが一番わくわくして楽しい仕事だったりしてます。

だけど、いろいろ工夫して「売れる」作品がひとつ作れたからといってそこで終わりではありません。できあがった作品の連載を続けながらも、全く別の作家さんと、全く別の作品を作り続けなければいけません。もしかするとものを作るすべての仕事がそうなのかもしれませんが、この仕事を続ける限り壁は常に目の前にあるような気がします。つまり壁は連続していて終わりはなく、常に突破し続けなくてはならない。これに気付いてしまった今、一番の壁に直面しているのかもしれませんね(笑)。

やりがいと大変なところ

やりがいはやっぱり「何かを作って形にし、それが世の中に出る」これに尽きると思います。マンガ作りは、作家さんと1対1で、とことんこだわり抜ける作業だと思います。そうしてこだわり抜いて出来上がった作品に、読者の方が思ったとおりの反応をしてくれた時は、思わず自分を褒めたくなるし、読者の方一人一人と握手して回りたいぐらいうれしいものです!もちろん、思ったとおりの反応をしてくれない時もありますが…(笑)。でもそれはそれで、なぜダメだったか?どうすれば受け入れられたのか?を考えるきっかけになるし、次の成長に繋がる部分がかなり大きいので、つらいだけのことでないと思います。
一番大変だと感じることは、編集者によって違うのではないかと思うのですが…私は時間との戦いではないかと思います。担当する作品が増えてくると、当然打ち合わせや作業量も増えてきますし、同時に作品に必要な記事や企画の数も増えてきて、一つの作品にかけられる時間が限られてきます。いくつもの雑誌をまたぐと、締切が重なって、並行して作業をしなければならない事も多いですし、打ち合わせのたびに頭のチャンネルを切り替えなければならないのは、正直パワーのいることです。

とはいえ、作家さんにとって担当編集は私一人なわけだし、作品が増えた分、一つ一つにかける力を抜く、なんてことは絶対にできません。仕事量が多くて一番しんどいのは作家さんなので、編集者が疲れた姿を見せてはいけないとも思いますし、どんなに「もう間に合わない」と作家さんが気弱になっているときでも、担当編集者だけは作家さんを信じて応援してあげないといけないとも思います。

限られた時間の中で、作家さんのモチベーションを維持しながら、できるだけクオリティの高いものを作る、それが一番大変なことだし、それこそが編集の仕事なのではないかと思います。

新卒の皆さんに一言

スクウェア・エニックスのコミック編集部は、編集者のやる気やモチベーションを高く尊重してくれますし、それが面白ければ全面的にバックアップしてくれる態勢が整っていると思います。ただそれは、裏を返せば自分から発信できること、したいことがなければなにも生まれないという厳しい世界でもあります。体力も必要ですし、精神的にもかなりハードな部分もあります。でも、最初は自分の頭の中だけで描いていた作品や企画が実際に形になって世の中に出て行く時の喜びは、何事にも代え難いものです。「マンガの編集」という仕事は、やってみないとわからない面が多いと思います。何をするのかよくわからないけれど…でもマンガが大好きで、自分にしか作れないマンガを作ってみたい!という強い想いを持たれる方は、ぜひ一緒に仕事をしましょう。楽しみにしています。

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