もともとマンガや雑誌といった紙媒体が大好きで、大学を卒業してからは書店で働いていました。もちろん、学生時代にいわゆる就職活動はしたものの、出版業界は狭き門ですよね(笑)。とはいえ書店で本を売る仕事もやりがいがあって楽しかったのですが、それでも作る側に回ってみたいな、とは漠然とですが常に考えていました。
書店で働いていた時に、昔読んだ大好きなマンガの完全版が出て、もう一度読み返してみたんです。そしたら、なんだかこのままではいけないような気がして、もう一度作る側に回る努力をしてみよう、と思うようになりました。つまり、きっかけはやっぱりマンガなんですね。
それで、とにかく応募してみようと思って探して最初に受けたのがスクウェア・エニックス(当時はエニックス)だったんです。実を言うと当時興味があったのは、少女誌だったのですが、「やる気重視」だった少年誌のガンガンを希望しました。面接の時も、少年誌の面接にもかかわらず「ゆくゆくは少女マンガが作りたいです!」と堂々と言ったりして、今考えると自分には本当にやる気しかなかったなと思います(笑)。
最初は、編集アシスタントとして入社しました。もちろん、アシスタントですからいきなり作品を持たせてもらえるわけではありません。最初の頃は、先輩編集者が担当している作品のお手伝いや、雑誌の記事などを担当させてもらいました。先輩編集者の打ち合わせに同行したり、外部に取材を申し込んだり、街角でインタビューしたこともありましたね。先輩社員は「一」聞けば、「十」答えてくれるような親切な人ばかりでしたので、とにかく聞いてみては実践してみて…を繰り返していました。ただ、聞かなければはじまらないので、わからないことや興味をもったことはウザいと思われるぐらい聞きました(笑)。
そうこうしているうちに少しずつマンガを作らせてもらえるようになって、「少年ガンガン」から「ガンガンパワード」に、そして現在は「Gファンタジー」編集部に所属して、いくつかの作品を担当させてもらっています。並行して「少年ガンガン」「ガンガンONLINE」でも担当作品を持っています。
いろんな雑誌にかかわるようになって変わってきたのは、「読者は何を求めているのか」をこれまでより強く意識するようになってきたことです。雑誌が変われば、読者も変わるわけで、もちろんそこで作るべき作品も変わってきます。
だけど、作家さんと同じで、私たち編集者にも作る作品の傾向や向き・不向きがあって、必ずしも自分の得意分野である雑誌のみで担当作品を持っているわけではありません。携わったことのない雑誌で、はじめて自分の担当作品を載せる時は、わくわくする反面、不安もいっぱいだったりもします(笑)。そうした時に、自分の持ち味がどこまで許されるか、「ここ」の読者に対して「自分は」何ができるか、を注意深く探るようになってきた気がします。そうやって探り探りものを作るのは、得意なものを自由に作るより神経質になるし、悩むことも多いです。でも、アンケートの反応をみながら「これならもうちょっといけるかも…?」とか「ちょっとやりすぎちゃったかな…」とか、読者の方とキャッチボールをしているようで、とてもおもしろくもあって、より不得意な分野に挑むきっかけや原動力になることもあるんですよね。
やりがいはやっぱり「何かを作って形にし、それが世の中に出る」これに尽きると思います。マンガ作りは、作家さんと1対1で、とことんこだわり抜ける作業だと思います。そうしてこだわり抜いて出来上がった作品に、読者の方が思ったとおりの反応をしてくれた時は、思わず自分を褒めたくなるし、読者の方一人一人と握手して回りたいぐらいうれしいものです!もちろん、思ったとおりの反応をしてくれない時もありますが…(笑)。でもそれはそれで、なぜダメだったか?どうすれば受け入れられたのか?を考えるきっかけになるし、次の成長に繋がる部分がかなり大きいので、つらいだけのことでないと思います。
一番大変だと感じることは、編集者によって違うのではないかと思うのですが…私は時間との戦いではないかと思います。担当する作品が増えてくると、当然打ち合わせや作業量も増えてきますし、同時に作品に必要な記事や企画の数も増えてきて、一つの作品にかけられる時間が限られてきます。いくつもの雑誌をまたぐと、締切が重なって、並行して作業をしなければならない事も多いですし、打ち合わせのたびに頭のチャンネルを切り替えなければならないのは、正直パワーのいることです。
もちろん大変なことはたくさんあります。まず、やっぱり必然的に仕事量は多くなります。作家さんの生活リズムに合わせて打ち合わせすることが多いので、どうしても忙しい時間帯は夕方以降にずれがちだし、複数の作家さんを抱えているので、夜打ち合わせしたからといって昼休める、というわけでもありません。また、定期刊行誌である以上、発売日を遅らせることはできないので、期限に対してはとても厳しい仕事です。
とはいえ、作家さんにとって担当編集は私一人なわけだし、作品が増えた分、一つ一つにかける力を抜く、なんてことは絶対にできません。仕事量が多くて一番しんどいのは作家さんなので、編集者が疲れた姿を見せてはいけないとも思いますし、どんなに「もう間に合わない」と作家さんが気弱になっているときでも、担当編集者だけは作家さんを信じて応援してあげないといけないとも思います。
限られた時間の中で、作家さんのモチベーションを維持しながら、できるだけクオリティの高いものを作る、それが一番大変なことだし、それこそが編集の仕事なのではないかと思います。

スクウェア・エニックスのコミック編集部は、編集者のやる気やモチベーションを高く尊重してくれますし、それが面白ければ全面的にバックアップしてくれる態勢が整っていると思います。ただそれは、裏を返せば自分から発信できること、したいことがなければなにも生まれないという厳しい世界でもあります。体力も必要ですし、精神的にもかなりハードな部分もあります。でも、最初は自分の頭の中だけで描いていた作品や企画が実際に形になって世の中に出て行く時の喜びは、何事にも代え難いものです。「マンガの編集」という仕事は、やってみないとわからない面が多いと思います。何をするのかよくわからないけれど…でもマンガが大好きで、自分にしか作れないマンガを作ってみたい!という強い想いを持たれる方は、ぜひ一緒に仕事をしましょう。楽しみにしています。











