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開発者の声
Vol.1 Special Interview/Designer
07 荒川 健/メニューデザイナー
作ったものが自分に返ってくる

●メニューデザイナーという仕事について。

ゲームの中には必ず「メニュー」というものがあるんですけれど、メニューデザイナーという仕事は、そのゲームの中のメニューのレイアウトだったり、ゲームのルールをわかりやすいようにイメージ化したものをデザインする仕事です。

●入社して最初のプロジェクトは何でした?

FF8 からです。

●そのときからメニューデザイナーでしたか。

いえ、入社からはずっとテクスチャをやっていました。メニューはキングダムハーツの海外版から担当することになりまして、そこからですね。

●入社前は何をされていたんですか。

やっぱりゲームを作る会社に2年ほど勤めていました。そこでは一通りテクスチャとかモデルを作ったり、絵を描いたり、メニューもやっていましたし、CG関係の作業や企画みたいなのも少しやっていました。

●前の会社とスクウェア・エニックス(以下スクエニ)は、どう違いますか。

クリエイターに対する扱いが全然違うんです。待遇面もそうなんですけれども、開発環境というところが一番大きくて。ネットワークシステム部など、クリエイター以外の部員がマシンのセットアップからフォローまでしてくれるんですけど、大体のゲーム会社ではそういったことを全て自分でやらなきゃいけないんです。OSやツールがちょっとバグったりとかしたら、全部自分でインストールし直したりとか、原因を究明するのに時間を割いていたんですけど、それをすべて他部署でやってくれているので、それはすごく違うなと。作るものに集中できる環境があるなと思います。

●その前は学生?

ゲーム開発の専門学校に2年間行かせていただきました。ゲーム関係のバイトをいろいろしたりとかして。

●やりたい仕事というのは決まっていましたか?

そうですね。小学校ぐらいからか、かなり小さいころからゲームセンターとかに通っていまして、ファミコンが発売されてすぐ飛びつきました。家でゲームができるんだと。具体的に創ってみたいと思い始めたのは、スーパーマリオを買って遊んでいるときに、いろいろなギミック部分がすごく面白くて、それがこうやって具体的に商品化されて、それがみんなに支持されるのが「すごい!」と思って。そこからゲームをつくるってどんな気持ちだろう?ゲームを作ってみたいなぁと思い始めまして…、具体的にパソコンを買うようになったり実際自分で作ってあそんだりしてました。

●パソコンのスキルはそれなりにあったんですか。

もともと独学でパソコンをいじっているところからやっていたので、ある程度はあります。ただ、多人数で物を作ることがなかったので、先ほどもでましたが専門学校のほうである程度そういうところを学んで、それがゲーム業界に入っても生きていると思います。

●今は、どんなツールを?

主に使っているのはPhotoshopですね。うちのセクションではPhotoshopを大体メインで使って、サブでILLUSTRATORとかMayaとか、あとはプレビュー用にちょっとFlash MX とかを使っています。

●メニューの仕事は、プランナーの人からこんなのを作ってよという具体的なオーダーがあるわけですか?それともある程度任される?

実はその線引き、非常に難しいんです。プランナー担当が絵を描けたり具体的な構想が出来ている人であれば、ある程度のレイアウトも簡単に描いてくれて、画面と画面のつながりとかもすべて書類に起こしてくれますし。また別のプランナーは、簡単に文章だけで項目を別に箇条書きして、この画面ではこの項目が必要ですという書類を渡されて、そこからメニュー班でレイアウトを起こさなければいけない場合もありますし。プランナーそれぞれですね。複数同時に交渉をしていかなければいけないので、担当者によって対応を変えなければいけないところがあるんです。でも最終的にプランナーのほうから出てきても、プランナーと一緒にレイアウトを詰めて、書類で起こして、じゃあ、これでいきましょうと決めてから、そこからようやくデザインを始めるという流れになっています。そのあとは各プログラマーとの話し合いが待ってます(笑)。

●例えばキングダムハーツだと?

キングダムの場合は、大体ゲームプランナー兼森主導になりますね。兼森と直接やりとりすることもあれば、ミニゲームはこの人、キャンプメニュー(スタートボタンを押したときに開くメニュー)はこの人、タイトル画面はプログラマー担当のこの人でと、仕事は結構パートに分かれていたりするんですけど、最終的には兼森の判断で進みます。交渉とかそういうときには各プログラマー単位とか、プランナー単位とかになっています。

●大体すぐOKは出るんですか。

リテイクが出されることは少ないとは思います。ただ、OKをもらえる段階まで作業を進めるのに結構な時間がかかりますね。最終的なチェックはディレクターがするんですけど、中途段階では、どちらかというとメニュー主導でレイアウト案を回していくことのほうが多いです。そういう意味では「楽」だという部分もありますが、それ以上に「責任」が要求される部分だと思います。そこでうまいことちゃんとしたレイアウトをだせないと、ゲームをプレイするユーザーに影響が出てしまうと思うので(笑)。そういった意味で「ユーザーにより良い決定を出すのに時間がかかる」作業だとはおもいます。

●プロジェクトへのかかわり方としては、開発の頭の段階から最後まで?

そうですね。作業の5割以上はプログラマーとプランナーの「交渉」がメインになります。そこが固まったら、方向性決定までの素材だしの時間がまたありますね。簡単にレイアウトのひな型を作った後も、ゲームのバランスを調整していく中で、やはりここはこのほうがいいかも?、ここはああいうほうが操作がしやすいんじゃないか?、こういうバランスのほうがゲーム的には面白いんじゃないか?というのをどんどん取り入れていく必要があります。それに伴って作業量も増えていく感じですね。そういったチューニング(調整)の作業をするのが、開発のスパンの中で後半にどんどん絞られてくるんです。でも開発当初でも基本的なものがないと、そこから先のゲーム部分が作れないので、結果的に最初から最後まで関わっていくことになりますね。

●フォントは開発しているんですか。

大抵のラインは、オリジナルフォントも起こしているはずです。もちろん既存のフォントを使うこともありますよ。その場合は、会社の方でそれなりの交渉して使用権を得るという形になります。でも、スクエニのゲームは独自の世界観を持っている物がすごく多いので(笑)、結局ゲームの内容に合致するようなフォントをデザインすることが多いですね。

●スクエニで仕事することで、楽しかった部分とか辛かった部分とかは?

楽しい部分は「作りこめる」ところですね、今までスクエニに来る前の環境だと、例えば1ヶ月、一週間とか決められた時間の中でゲームの全てを少ない人数で作らなければいけない。そうなると、作るのが精一杯で、自分が納得できるデータがなかなか出しづらい状態だったんです。結果的に「開発の中であきらめた部分」があるままに世の中に出さなきゃいけない。そういった印象があったんですけど、スクエニのほうではゲーム開発においての長いスパンと多人数で構成されたセクションで作業がある程度分割されていて、「1つの仕事に集中できる」ような環境になっていて。結果的にクオリティの高いものを世の中にプレゼンテーションできる!というのがすごく楽しいですね。一個一個作るものに対する愛着や努力や結果が、すごく自分に返ってくるという実感があります。辛かったのは、やはり泊まりがそれなりにあるなというとこですね(笑)。裏返しにいえば「ゲームをよりいいものにしたい!」という前向きな気持ちの現れだとは思うんですけどね。

●いままでのプロジェクトが完了したときは、どう思いましたか。

正直言ってしまうと毎回「解放されたぁ」というのが大きいです。けれどやっぱり最終的には「ちゃんとできた、作り切った」という充実感のほうが大きくなっていきますね。ユーザーのコミュニティで評価されていると「本当に良かった」という安心感もあります。作っている最中は皆が常にクオリティに対しては厳しい目で取り組んでいるので、「限られた時間の中で自分達の納得できるものが出せた」という達成感でいっぱいになりますね。

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