●プランナーを細分化した名称としては、どういうものがあるんですか。
社内での一般的な分類は、イベントプランナー・バトルプランナー・マッププランナーですけど、違う分け方をしているチームもありますし、役割を細分化しないで一人がいろいろやる方針のチームもあります。僕が最初に入ったところはイベントとバトルだけで、イベントの人もバトルの人もマップの仕事をやってました。少人数チームのアクションゲームでしたんで、手分けして。
●シナリオプランナーという分類は?
シナリオプランナーというのはちょっとイレギュラーな分類で、まあシナリオライターっぽいむにゃむにゃということで。シナリオ担当も分類上はイベントプランナーの中に入るんですが――こういう分類って、あまり意味がないかもしれません。例えば一口でバトルプランナーとは言っても、各自が全然違う仕事をしてますから。大規模なタイトルだと、ボスを専門に作る人、ザコを専門に作る人、プレイヤーの能力やアイテムを管理する人、戦闘シーンのカメラワークをつける人、そして全体のバランスを調整する人がいるという具合で。何を担当するかによって必要な技術は違ってきます。
●かなり多岐にわたりますね。
「プランナー」って名称は意味が広すぎて実態をつかみにくいかもですね。それに担当した分野を一生やると決まってるわけでもなくて、マップからイベントに移るなんてこともあるので、そうやってキャリアを積んできたプランナーは一人ひとり異なる得意技を身につけますから「プランナーとは何か」というのは、なかなか説明しにくいんです。同僚と話してみても、みんなして頭抱えちゃって(笑)。
●渡辺さんご自身は、どこを?
僕は実はテキストしかできない人間なんですよ。開発ツールや開発言語を操るスキルが全然なくて、ずっと文字だけを書いてるという、スクウェア・エニックス(以下スクエニ)には他にあまりいないタイプで。書くのはシナリオ台本以外にも、例えば町にいる人の「ここはナントカの町です」みたいなセリフや「このアイテムを使うとヒットポイントが200回復します」なんて説明文も。一からすべてを書いているわけではないんですが、関わったタイトルで文字に関わる仕事はまとめて引き受けてます。――元出版なんで。
●前職は編集ライターですか?
そんなところですね。文章の扱いに慣れてますよってことで入ったので。だからFF10、10-2では全テキストの99%には目を通してます。たぶん半分以上はゼロから書いてて、町の人のセリフはほぼ全部でしょうか。以前は各プランナーが分担して書いてたようですが。大規模なタイトルだとイベントプランナーは「君はどこどこの町担当」「君はどこどこ」と地域単位で担当することが多いんですよね。「この町で起こるイベントもミニゲームも全て俺が作る」てな感じで。そうすると担当者は「カメラをこう回すと裏が見えちゃうからヤバイ」とか、その地域に固有の構造を知り尽くして効率よく作れますから。そんなわけで、今まではそれぞれの町にいる人のセリフも全部そこの担当者が書いていたそうですが、そこを僕が。
●トーンが統一できるとか?
ですね。規模が大きくなった分、テキスト専門の人間を置く余裕と必要性が出てきたんじゃないでしょうか。一人に集約しておけばトーンを揃える手間が省けるぞってことで。
●ファイナルファンタジーのようにドラマ性の高いゲームは、専任の脚本家がシナリオを書いているのかなと思っていたんですけれど。
専任のシナリオライターを置くようになったのはここ数年っぽいですね。昔はそれぞれの地域を担当するプランナーが主人公のセリフまで書くことがあったらしくて。最終的に誰かがトリートメントして統一していたようですが。
最近は声を録音する台本が先に必要になるので、少人数で集中して書いてます。FF10とFF10-2は二人ですね。でもゲームって最初にシナリオを全部書いてから作り始めるわけではないんですよ。僕が最初にやったDEWPRISM(デュープリズム)というタイトルがそうだったんですけど、主人公は男の子と女の子で、キャラクターの絵はできていても性格づけはまだで、全8ステージぐらいって大枠だけがあって、その枠内でシナリオを作ってくださいというふうに進んだりとか。
●世界観はあったんでしょう?
あったんですけど、好きにいじっていいよって一任してくださって。DEWPRISM以降のタイトルでも、大まかなプロットに沿って作業が進んでいた状態で途中参加して、ラストをまとめることもありました。一番最初にプロットを作っても、制作中に諸事情で変わっていくものなんですよね。プロットでは会話シーンのあと一気にボスとの戦闘になだれこむ展開になっていても、途中でセーブポイントがないとマズイぞってことで変更したり。先に声を収録した場合は、録り直しが大変なんで変更は少ないんですが、声がない時代には最後の最後までシナリオが変わりまくることもあったようです。そのころは僕、いなかったんですけど。 |