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●松澤さんが今ハマっているものはドライブ。では車が引き出しになっているんですか。
最近車に乗り始めたんですが、これが面白くて。何が面白いかというと、すごくサービスコメントっぽくて嫌なんですけど、「ファイナルファンタジー」で飛空艇を手に入れたときの感じに似ているんですよ。今まで町を歩いていて、見ているんだけど行けない場所に車があれば行けるという、それが面白いんです。特にドライブに向いている場所に行きたいとか、そういうスポットに行きたいわけではなくて、例えばサービスエリアとか、車がないと入れないところに車で行って降り立つというのが何か面白くて。
●わかる気もするけど、サービスエリアかって(笑)。
そこから見た景色が新しい。車に乗ることによって町の景色が変わる、違って見えるということが今、すごく面白いんです。
●車に乗っていると人の動きって「ああ、こうなんだ」とか思うことがありますよね。歩いている人間から見た車と、自分が乗っていると、「ああ、人ってこういう動きをするのか」とか。ほかに引き出し的な趣味はあるんですか。好きなこととか。
割と移り気が激しいので、いろいろなことをやっては飽きて。一時期ピアノを弾いたりもしていましたし、観葉植物をやたら栽培したりとか、そんなこともやっていました。
●でもそれが仕事に生きてくる。
生きてくるかどうかはわからないですけど、いろいろなことに興味を持って見ていると面白いですよね。仕事につながることもありますが、いろんな感覚が関係ないところでもつながってくると、少しものの見方がひろがります。
●PCのスキルは必要?
基本的に絵はほぼPhotoshopというソフトを使って色を塗って仕上げています。色を塗らない絵でもPhotoshopでサイズを変えてウェブにアップしてみんなで見られるようにする作業はあるので、ある程度使えたほうがいいし、使えるにこしたことはないとは思います。
●入りたいと思ったら、それまでに勉強すればいいというレベルですか。
そうですね。現場ではほぼデジタルデータでやりとりされるという現実があるので、どうしても機会のない人は入ってから勉強することもできると思いますが、機会があれば興味をもって触っておいてほしいです。一番重要なのは、デザイン力があるかどうかというところだと思うので、仮にPCが全然使えなかったとしても、ダメということはないと思います。
●端的に言うとデザイン力というのは何ですか。
デザイン力は新しいものを、できるだけ見たことがないものをつくろうとすること、プラス人と多くかかわりを持つことだと思うんです。
後者は忘れられがちですが、デザインをする上で大事な部分だと思っています。ただ新しいものをつくろうとすると、ひとりよがりになってしまう可能性が非常に高い。新しいけれど、だれも理解できない。それだと意味がないですよね。そこで必要になってくるのが、いろいろな人とかかわりを持って、人と共感できる部分を多く持っていることなんです。基本的に僕らの仕事は作家というよりも翻訳家に近いと思っているんです。プランナーなりシナリオライターが文章にして書いたものを絵という形に翻訳する。翻訳する言葉の選び方はいろいろあると思いますが、その言葉はだれかに伝わらないと意味がない。
●では松澤さんの目標とかテーマは。
今、具体的に仕事の中でというと、まだコミュニケーションという部分が個人的には足りないと思っています。例えばデザイン画を描くにしても、もっと伝わりやすい描き方なり表現なりがあると思いますので、そういうところをずっと模索していきたいと思っています。それはもちろん、対スタッフの場合の伝わりやすさも、対ユーザの場合の伝わりやすさも含めてです。
それと、世界観をつくる仕事の最たるものが、アートディレクターという仕事だと思うのですが、仮にもし自分がアートディレクターという立場になって、例えば「ファイナルファンタジー」なりスクエニのタイトルのデザインに責任を負う立場になったら、一体どんなものを出したいか、またはだせるか、というところがまだまだ自分の中で明確ではないんです。さっきも言ったとおり、ゲーム開発は共同作業ですから、いつまでも誰かにぶらさがって自分は責任を負わないようにしていてはいけないと思うので、せめて自分のデザインには自分で責任を負えるように、一番責任が重い人のことを考える、これは最近のテーマです。
●でも、こんなのをやってみたいとか頭をよぎりますよね。
自分の中でやりたいことが仮にあったとしても、仕事をしていく中でいろいろな現実を見たり聞いたりしていくうちに、「ああ、これはまだまだ甘いな」というのが出てくる。だからといってやりたいことを忘れてしまってはつまらないので、希望と現実の折り合いをつけながら、頭の中で熟成させてますね。
●では、このサイトを見ている人に向けて、先輩としてアドバイスを。
もうやりたいことが見つかっている人はどんどんそこに行けばいいと思います。やりたいことが見つからない人は、多分何かを怖がっているんだと思うので、何か目の前にチャンスが来たら、とにかくやってみることだと思います。僕も雑誌の編集という全然関係のない仕事をやってみて、逆にものの見方が広がってよかったと思うので。
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