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開発者の声
Vol.2 Special Interview/Designer
07 元良 麗/キャラクターモデルデザイナー
絵画を勉強した

●元良さんは研修生として入社されたんですね。

はい、そうです。

●その前にはどういうことをやられていたんですか。

芸術系の大学の油絵科の大学生です。

●その頃は、将来どうなろうと考えていましたか。

在学中は、ただ自分の作品を制作するのに夢中で。でもアーティスト活動と仕事を結びつける気はなかったですね。大学に入る前に遊んだゲームがきっかけで、CGデザイナーへの憧れはありました。

●アーティストという道だと今、食べていくには難しいですか。

そこは、常に議論になるところなんですよね。少なくとも、私にはその気がなかったですね。

●油絵科でも、コンピューターグラフィックスの授業もあったんですか。

ええ、HTMLでホームページを作ったり、簡単な映像編集や写真の加工を体験する授業がありました。そのメニューの中に実は、3Dもはいっていて。何をするかといったら、フォントを1コ出して、押し出しで奥行きを持たせて終わり。と。ものすごく期待していたんですけどね。突っ込んだところまでいかない。コンピューターを使うと美術に関わる領域でこんなことができるんですよ、というあらましを見る時間でした。

●そのころはパソコンのスキルはありましたか。

遊びで、Photoshopを自分の作品にちょくちょく利用する程度です。これはなんか使い方を間違ってる気がする、とか、適当にいじったら意外と面白くなったからまあいいや、とか何をするにも過程や結果に確信がないまま作業していましたね。

●スクウェア・エニックス(以下スクエニ)に入った経緯を教えていただけますか。

前々からスクエニに研修制度があるのを知っていたので。だから、学校では3Dなんてこれぽっちもやってないのに、CGデザイナーの道はそう遠くないんじゃないかっていう確信めいたものがあったんだと思います。昔、ゲーム雑誌でみた求人広告に「エアブラシ1本できた僕でも大丈夫ですか」「はい、スクウェアは絵を描きたいというその心を応援します」みたいなキャッチフレーズが書いてあって。スクエニになっても続いてたんだ、と思って。それで、就職活動として応募したんですよ。

●学校に行きながら研修生及びアルバイトですね。研修生のときはどういうことをしていましたか。

まず、最初の5日間で、3DCGツールの基本的な使い方を勉強するんですよ。とても単純なフォルムのモデルを5日かけて制作します。単純ながらも、その中にこれさえできればモデリングはできますよ、というワザが詰まっていて。それができたら、あとは過去にリリース済みのゲームキャラを1体1週間ぐらいのペースで作成しながらプラスアルファを覚えていく、という流れですね。ボーンをまっすぐ入れる、とか、ここはテクスチャで表現できるから形を省く、とか。形をしっかりとった上で更に実用的なレベルのことを学びます。

●Photoshopを遊び程度にいじっていた元良さんが、その5日間でかなりできるようになったんですか。

ええ。研修に入るまでポリゴンを切ったことすらなかったので、5日前と後の違いで考えたら”かなり”と言っていいかと思います。あらかじめそのキャラ用のパーツみたいなものが揃っていて、それをプラモデルみたいに組み立てるんじゃないか、とか、コンピューターってものすごく楽に何でもできるイメージがあったから、3Dもそうなんだろうなとか。そうしたら、実は、立方体1つに点を打ち線を引き、これがポリゴンを切っていく、ということなんですけど、そうやって地道に地道に作っていくんだということを知って、初めは正直、愕然としましたよ。でも、何も知らなかった自分が現実を知って、それがこの先の仕事につながっていくと思えば、5日の意味は大きかったと思います。

●油絵としてはプロの道を目指したけれども、コンピューターに関しては本当の素人だったと。

ええ。3Dは特に。

●実際の課題が出ますよね。作ったものは、チェックしていろいろ教えてくれるものなんですか。

モデルだけで完結しませんから。テクスチャを貼って、モーションをつけることを前提にモデルを制作しなくてはいけないので、仕様に関わってくるところはもともと知らなくて当然ですし、実用的なレベルのことは教えてもらえます。形の取り方は、教えてもらうというより気付かされました。

●家に帰って勉強したり、復習したりということはなさっていたんですか。

家に3Dツールがないので実作業は会社で一気に集中して、会社以外の場所では実作業を思い出しながらチュートリアル本を読んだりしました。作業中に疑問に思ったことを後で調べたり、本を読んで新しく見つけたことを次に会社に来たときに使ってみたり。でも、今ひとつ要領を得なくて。隣の人に聞きまくっていましたよ。これが一番勉強になりましたね。当時一緒に研修を受けていた、現在も同じチームにいる仲間なんですけど、分からないことがあると全部彼らにきいてました。学校でCGを勉強してきた人たちなので。相当にお邪魔をしたなと思うんですけど、でも分からないことをそのまま放置してしまえば結果的には仕事についていけなくなって余計に周りに迷惑をかけてしまうし、自分のスキルも上がりませんから。

●ずっと平面の勉強をなさっていて、それが3Dになった。その違いは?

例えば、デッサンで静物を描くとしますね。描く対象を360度からぐるり見渡して観察しても、結果的にはアングルを1箇所に固定して、1枚の絵として四角いワクのなかに納めないといけない。一定方向から見ながらもその裏側がどうなっているか考えて描くけれども、それが見た目に反映するわけではない。あたかも手前からうしろに回り込むかのように、うしろに空間があるかのように”見せかける”技術が要求されるわけですね。一方、3Dでは360度どこから見ても、その物が持つ印象を壊さないように、不都合がないように作らないといけない。その点で、大きく違うと思います。彫刻に近いけれど、実際に手で触りながら形を確認できるわけではないので、初めはものすごくもどかしくて。画面に手を突っ込みたくなるくらいに…。

●アルバイトの時代はどんなことをなさっていたんですか。

現在、開発中のゲームに登場するキャラクターのモデリング、実データの作成ですね。手が空いているときは、研修と同じようなことを繰り返してスキルアップしていきます。自分の苦手とすることをカバーする、例えばメカが苦手だから、じゃあ機械系キャラを練習しよう、とか。いつ何時データを任されてもベストな状態で挑めるように備えるわけです。

●そもそも、なぜ自分が採用されたかと思いますか。

これは何故かと自分で考える間もなく、面接のときに「デッサン力で選びました」と言われたので、そうなんだろうなと思います。

●入る前にゲームはやっていたんですか。

「FFIV」から「FFVIII」あたりまで。「FFVII」でドット絵から3Dになったときに、かなりの衝撃を覚えましたね。それより早くから3Dのゲームはあったけど「FFVII」の世界観と3Dの質感の絡みがかっこ良くて。3Dって面白い!と。高校で進路を決めるときに、大学で美術をとるか、専門学校でCGをとるかで迷ったくらいに。結局大学に進んだのは、父の助言があったからなんですね。CGって技術だから、何をするにも基礎は大事だよって。

●いいお父さんですね。お父さんはそういう仕事ですか。

いや、建設関係です。

●たった一言で。

ええ。CGデザイナーへの憧れとその一言で絵画の道に進んだけれど、学校に通いだしたらアートのほうが面白くなってしまって、ゲームのことはいったんすっかり忘れてしまったんですよ。受験のどさくさで遊ばなくなったのもあって。ゲーム雑誌はチェックするけど遊ばない。でも、CG自体の魅力は色褪せなくて、表現として面白いから。

●実際に今CGを仕事にされているわけですが、学生時代に絵を描くうえでの基礎を学んでおいたのは大きかったですね。

ええ。物の見方や考え方を養って、それを表に出すために絵という手段を選んで、絵を描くのに、どんな画材を使って描こうかな、絵の具、鉛筆、画用紙、和紙、それと同じレベルにCGという画材が存在するんだと思います。

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